研究概要 |
本研究の目的は,フロー需要対応型施設配置モデルを構築してそのモデルによる施設立地の特徴を把握すること,および高速交通網の形状が都市施設の立地やその集積としての都市空間構造に与える影響を分析することにある. 15年度は,迂回距離を最小化するように施設を配置するモデルを取り上げ,交通流動としてフロー需要が与えられた場合に,どのような施設配置がもたらされるかについて分析を行った.また,高速交通網として放射環状型交通網を取り上げ,その存在が移動距離や流動量に与える影響の基本的性質を解析的に明らかにした.流動を中継する拠点施設の配置を,利用者の移動距離を最小にするとともに,与えられた発生集中量から都市内の流動を同時に最小化するように決定する問題であると考え,職住割当問題とフロー需要施設配置問題を合成したフロー需要対応型施設配置モデルを定式化し,拠点施設の容量制約がその立地に及ぼす影響を明らかにした. 16年度は,フロー需要や都市活動分布の変化に伴う適正配置の変化の分析を行った.モータリゼーションの進展やそれに伴う鉄道・道路などの高速交通網の整備,情報技術の革新などによって,都市空間におけるフローは絶えず変化を続けてきた.これに伴って,商業地域の分布や都市空間構造も変化を続けてきたと考えられる.そこで,フローやそれを支配する都市活動分布の変化が施設立地に与える影響の感度分析を行い,これによって,ターミナル施設や商業核の配置構成の理論の構築を実施した.また,15年度に分析した二つのモデルの最適解が従来のp-medianモデルとどのように異なるかを分析することにより,需要全体における近隣需要とフロー需要の構成比の変化が立地にどの程度影響を及ぼすかについて感度分析を行った. 17年度は,高速交通網の形状が施設立地・都市空間構造に与える影響の分析を行った.高速輸送網の存在は,距離空間を歪め,不均等な流れを生じさせ,ひいてはフローの空間的分布に多大な影響を及ぼす.高速輸送網が存在する条件下でのフロー需要対応型施設配置を求めることにより,様々な形状の高速輸送網のもとで施設配置やその集積としての都市空間構造が実現されるかを記述することを試み,さらに高速輸送網の最適形状を考察した.
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