研究概要 |
評価を受ける対象が評価評価をする側から一方的に評価を行なうだけでなく,評価を受ける対象から評価する側への評価を取り込んだ双方向の評価システムを相互評価システムと呼ぶ.相互評価システムに対するシステムアプローチの1つであるAHP,ANPに対する数理モデル開発を平成15年度は主に行なった. 従来,相互評価システムではそのシステム内の全対象が全対象を評価することを仮定されている.これを完全情報と呼び,そうでない場合は不完全情報と呼ぶ.不完全情報におけるAHPでの分析法はいくつか既に提案されているが,本研究では,完全情報下でのAHP分析上の特徴である固有値法をモデル化することで,既存の分析法をモデル化することに成功し,さらに,完全情報下でのAHP分析上の特徴である固有値法の自然な拡張である不完全情報下での分析法を開発した.なお,固有値法をモデル化に関する入門的説明を本年度の「オペレーションズリサーチ」に記載されている. 次に,相互評価システムのグラフ構造が2部グラフである場合について研究を実施した.2部グラフとなる相互評価システムの具体的事例を「オペレーションズリサーチ」で示し,さらに,そのシステムに対する分析法の1つ(一斉法)の有効性を検討した. 最後に,相互評価に基づく経営効率測定であるDEAに関して,時系列上のフィードバック機構を有した生産プロセスの評価に関して研究を実施した. 以上の研究成果は,論文としてEJORを含む3つの国際科学雑誌に掲載(掲載予定)され,さらに国内向けの雑誌に2本公表された.なお,学会発表は3回行ったが,バリ島開催のAHP国際会議はテロの危険のため参加を残念ながら見送った.
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