研究概要 |
強震動予測のための特性化震源モデルの高精度化をめざして,動力学的な震源パラメタの空間分布特性を求めることを目的とした.今年度の研究成果は以下の通りである. (1)運動学的震源モデルの収集 強震記録等を用いた震源インバージョンによって得られた詳細な運動学的震源モデルを収集した.1995年兵庫県南部地震,1999年トルコ・コジャエリ地震,1999年台湾・集集地震,2000年鳥取県西部地震の震源モデルを収集した. (2)断層面上の動力学的パラメタの推定. すべりの時空間分布から応力の時空間分布を推定するBouchon(1997)の手法に基づき,断層面上でのせん断応力の時空間分布を推定した.サブ断層におけるせん断応力の時間関数から,静的応力降下量,動的応力降下量,実効応力を定義に従って推定した.Dc,破壊応力レベル,Gcなどの動的パラメタも求めた. (3)特性化震源モデルの応力降下量 すべりの分布による特性化を行い,すべりの大きいアスペリティ領域とそうでない領域を決定し,アスペリティ・非アスペリティ領域それぞれでの平均応力降下量を推定した.4つの地殻内地震でのアスペリティ内の実効応力は15-20MPa,非アスペリティ領域では5MPa程度となった.地震間の差が大きいものの,アスペリティ領域の応力降下量は弱い深さ依存性を示している.また破壊応力レベル(と初期応力の差)は応力降下量に比較して小さいこともわかった.これらのパラメタ値は強震動予測に用いられる特性化震源モデルの応力降下量を設定する際に有効である.来年度には,このパラメタ設定により強震動シミュレーションを行い,パラメタの有効性を検証する.
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