研究概要 |
1)災害エスノグラフィーの分析による災害過程の整理 阪神・淡路大震災,鳥取県西部地震および芸予地震など近年わが国で発生した地震災害の代表的事例について,これらの地震災害の被災者・災害対応者に対して実施されたエスノグラフィーデータの収集・整理をおこなった。 次に,得られたデータをもとに、特に災害対応組織に注目し、災害対応の意志決定過程について,その構成要素を時系列で分析し,地域性・時間性に関わらずに共通に存在する要素群と,それぞれの災害に固有な要素群の検討をおこなった。 2)地域防災計画策定のためのストラテジック・プランニングの実施 防災シナリオ・プランニングの準備作業として、地域防災計画策定のためのストラテジック・プランニングを実施した。実施対象地域としてフィリピン国マニフ首都圏マリキナ市に選び、同地域の地震ハザードにもとづく被害シミュレーションを実施した。次にこの結果をもとに、同市役所の職員を対象に数回にわたるワークショップを実施した。まず、市内において地震災害時に守るべき施設を同定し、次にそれぞれの施設を守る方法・プログラムの検討をおこなった。最後にそれぞれのプログラムの実施に必要な資源の調査や、プログラムの優先順位の検討をおこない、戦略的に地域防災計画を策定するための手法の開発をおこなった。 3)東海・東南海地震における被害シミュレーション これらの手法のわが国へ適用を検討するために、まず被害想定をおこなった。想定する地震災害として東海・東南海地震津波災害を選び,これらの2つの地震が同時に発生する場合、それぞれが別々に発生する場合について検討した。特に本年度は社会基盤施設の被害に着目し、東海地域の主要道路橋脚の破壊に基づく、道路ネットワークの被災パターンの検討をおこなった。
|