都市圏の社会活動を背景に、その地域が地震により被害を受けると、直接被害、関節被害を含め被害は甚大且つ複雑になる。したがって、地震危険度評価にあたっては、災害関連事象及び対象地域を広範囲の規模で考慮し、様々な地域特性を把握・加味した総合的な地震危険度評価を行うことが必要である。 そこで本研究は、地域の地震災害危険度を評価するにあたり、当該地域が地震に対する脆弱性をどの程度有しているかを、生活圏・都市圏・国レベルへと広範囲の自治体に対応したリスクマネジメントの一環として定量的に評価するための手法を提案することを研究目的としたものである。また、地震脆弱性の評価対象としては、社会的に重要と考えられる経済的ポテンシャルの高い広範囲の地域(三大都市圏及び地方都市を含む)を選定した。 以上の研究目的に対して、地域や都市に潜在する地震被害種・時系列別毎の脆弱性及びそれらを総合した地震災害脆弱エネルギーと、その地域間の影響波及(地震災害脆弱引力・地震災害脆弱ポテンシャル)を加味した地震災害脆弱性評価手法を提案し、上記の三大都市圏及び地方都市を対象として、以下の如くに定量評価を行った。 (1)1995年阪神・淡路大震災前の近畿圏を対象として評価手法の妥当性を検証し、実被害と正の高い相関を有することを示した。 (2)地震災害脆弱性評価結果からそれぞれの評価段階において、それぞれの地域・都市は固有の地震災害脆弱性を有していることを定量的に示した。 以上により、従来はあまり考慮されてこなかった「脆弱性」と「地震被害量」の関係を、政令都市や地方都市の事例を挙げてその相互関係を定量的に示すことができた。
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