研究概要 |
1.全国液状化危険度評価手法の開発 既往の微地形による液状化判定基準と,全国地形・地盤ディジタルマップ(以下,本マップと略記)が保有する地形分類と傾斜データを用いて,液状化危険度評価を行う手法を開発した。この手法により日本全国の液状化ハザードマップを作成し,既往の地震による液状化発生地点の分布と比較したところ,両者はよく一致した。これにより,本マップが地盤の液状化危険度評価に有用であることが示された。 2.全国の地震動の地盤増幅特性評価手法の開発 本マップの地盤の増幅特性評価への適用性を検証するために,全国77箇所の気象庁87型強震計による観測記録を用いて構築した距離減衰式から得られた地点係数と,本マップの微地形区分との関係を検討した。その結果,本研究による微地形区分ごとの地点係数には有意な傾向が認められ,地震動評価に重要といわれる1秒前後の周期帯でのばらつきが小さいことを確認した。従って,本マップで提案する地形分類基準は地震動評価に適用でき,このマップを利用することで,日本全国を基準地域メッシュ単位で,従来の方法に比べて均等均質な精度で地震動評価ができる可能性が示された。 3.全国のダム堆砂量評価手法の開発 ダム堆砂量を地形量から推定するために,メッシュ単位の傾斜を流域内で合計した値を提案した。全国のダム堆砂量の実績値とGIS上で構築されたダムの流域ポリゴンと,本マップの傾斜データを利用して,提案した地形量と堆砂量との関係を分析した。その結果,両者はいずれの分類においても,比較的よい相関がみられた.各分類における堆砂量と傾斜合計の比の概算値は,先第三系で3.0,第三系で2.2,第四系火山で4.0であり,火山地質で土砂の算出が比較的大きいことがわかった。このことから,既存の砂防GISでは対応が難しい広域において,本マップを用いて,ダムの堆砂量を大まかに推定できる可能性が示された。
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