研究概要 |
1.全国地形・地盤ディジタルマップを利用した地盤の平均S波速度推定手法の開発 日本全国の任意の地点での地盤増幅特性を評価するために,S波速度資料が得られている全国約2000地点について,深さ30mまでの地盤の平均S波速度(AVS30)と微地形区分との関係を検討した。微地形の判読は,全国地形・地盤ディジタルマップの分類に従い,目視判読により正確に行った。その結果,微地形ごとのAVS30は,地盤の形成過程や堆積環境に起因する違いが認められ,標高,傾斜,古い時代に形成された山地・丘陵からの距離を説明変量とした回帰式によって,AVS30が比較的精度良く推定できることを示した。さらに,地形・地盤ディジタルマップを利用して日本全国のAVS30分布図を示した。これにより,AVS30と地盤の増幅度に関する既往の経験式を用いて,日本全国任意の地域での地盤の増幅度を均等均質な精度で簡便に推定できる可能性が示された。 2.全国の山地の崩れやすさの広域評価手法の開発 土砂災害の素因となる「山地の崩れやすさ」を広域で把握することを目的として,ダム堆砂量の全国的データベースを新たに構築し,堆砂グラフから計測された比堆砂量と地質や標高データから計測された各種地形量との関係,荒廃地域の有無による地形量や比堆砂量の違いを示した。それらの結果に基づいて,全国地形・地盤ディジタルマップに含まれる平均メッシュ傾斜と表層地質を用いて,ダムの比堆砂量を簡便に推定する手法を提案した。提案する手法を国土数値情報の流域ポリゴンと全国地形・地盤ディジタルマップに適用して,全国の堆砂量ポテンシャルマップを作成した。
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