研究概要 |
天然配列に匹敵するような構造特異性を持つタンパク質を設計するために,主に2つのアプローチを考えている.1つは側鎖のパッキング特異的が発揮されるようアミノ酸配列を選択することであり,具体的には側鎖エントロピーの計算値を陽に配列設計に取り込むことである.もう1つは,我々が今まで行ってきた設計方法ではではあまり重要視されていなかった,アミノ酸と主鎖構造の局所的相互作用関数をより高精度化することである.前者に対して後者のアプローチが比較的容易に思えること,および前者の計算が上手くできたとしても後者の関数を取り入れた総合的な判断から配列設計がなされるので,高精度の局所構造関数なくしては設計の成功はありえないと思えること,などから本年度は局所構造関数の開発に勢力を注いだ.まず,PDBから立体構造の代表セットを選択し,ラマチャンドランプロットを作成した.一方でDSSPを利用して二次構造のアサインメントを実行し,これとラマチャンドランプロットをつきあわせることにより,局所構造の分類を行った.例えばヘリックスの領域は,DSSPのH構造がドミナントな領域,G構造がドミナントな領域,その他,の3種類に分割した.結果として10ていどの局所構造に分割を行った.アミノ酸別に10構造の分布を計算し,比較を行った.分布をベクトルとみなして階層的クラスタリングを実行し,アミノ酸のデンドログラムを作成した.得られたデンドログラムは概ねアミノ酸の側鎖の物性や二次構造傾向性を反映しており,ヘリックス/ストランド/コイルの3分割で書いたデンドログラムよりも整合的に思われた.これら10分割を3残基,5残基,7残基などのフラグメントに適用することで高精度な局所関数の開発を行う予定である.
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