1.in vivo系、2.in vitro系、及び3.遺伝子クローニングに分けて研究実績概要を述べる。 1.Vibrio fischeri Y1生物発光における発光変調の機序機作の解明を目的として、増殖過程における発光を時間、酸素濃度、細胞数、及び単一細胞密度の観点から調べた。一連の測定から、次の知見を得た:(1)嫌気的条件において、青色光を生産し、逆に酸素濃度を高めると黄色光を放射する。(2)発光色の変化は酸素濃度に応じて可逆的に起こる。(3)可逆的な発光色変化は、高細胞密度条件において顕著である。(4)細胞膜界面に偏在するチトクロムcの還元状態において青色光が生産され、逆に酸化状態において黄色光が生をされる。(5)可逆的な発光色変化は細胞膜呼吸活性によって制御されている。及び(6)細胞分裂の直前、即ち単一細胞密度が最大付近において発光変調が顕著である。現在、同調培養を行ない、細胞周期との関係を詳しく調べている。 2.V.fischeri Y1培養細胞から単離精製した黄色蛍光タンパク質(YFP)のレドックス状態依存性蛍光挙動を調べた結果、YFPは還元状態において無蛍光性であり、再酸化の過程において可逆的に蛍光能を回復することを明らかにした。さらに、蛍光消光の動力学的測定から、YFPの蛍光部位は、YFPから遊離した蛍光性クロモフォアと比べて極めて安定であることが判明した。さらに、YFPのレドックス状態依存性蛍光挙動が、in vivo系可逆的発光変調の原因であることを示した。 3.V.fischeri Y1より抽出したゲノムDNAを制限酵素で部分分解した後、プラスミドに組み込みゲノムライブラリーを作成した。これを大腸菌に封入した後、青色蛍光タンパク質及びYFP発現株のスクリーニングを行った。現在、蛍光タンパク質遺伝子のシーケンスを進展させている。
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