研究概要 |
筋肉衰退抑制効果が認められたジペプチド。そのミミックとして、実際に研究代表者が独自開発した鍵化合物(MAC反応剤)を用いて代表者と分担者(渋谷)と共同で5種類の化合物(1サンプルで100〜200ミリグラム。Ala-Lys, Ala-Val, Lys-Lys, Lys-Val, Val-Valの各ミミック)の合成を達成した。用いるアミノ酸原料の種類に依存せず、すべてが反応の最適化を十分に行わない段階でさえ50%〜70%の収率で得られた。特にVal-Valミミックは、立体障害の大きなアミノ酸同士の組み合わせであるが、十分に良好な収率が得られた事より、この鍵反応の効率良さと広い汎用性が示せたと考えている。得られたサンプルは活性評価試験のために分担者(二川)に供出した。活性評価は現在進行中である。 この間に、MAC反応剤を高効率に合成する新規合成法に取り組み、短段階合成法を達成した。従来は7段階以上で7〜10日間を要したが、これを3段階で数時間に効率アップした。この手法は段階と時間を節約できるようになった以外に、高価な縮合剤を用いる段階がなくなったために、総コストも大幅に節約できた。またかつての反応経路では強塩基性な条件を要する反応段階があったため、アシル基を有する誘導体の合成は不可能であったが、新製造法ではその段階が無くなったことより、MAC反応剤のバリエーションを広げるアシル基(具体的にはアセチル・ベンゾイル・ウンデカニル基)の誘導体を初めて合成することに成功した。また得られたペプチドミミックの2級アルコール部分のRS配置の混合物を分離することを視野に入れた研究として、2級アルコールの光学分割剤に関しても研究を行った。
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