研究概要 |
今年度は心筋細胞における介在板構築の実験系確立を目的として、心筋細胞をラット胎児より分離し、コラーゲンをコーティングしたカバーガラスにまいて培養する方法を検討した.前年度の結果を元に、まず培養液に用いる血清の検討を行なったところ、ラット血清とウマ血清は細胞を並べる活性および細胞を長時間維持する活性を持つことが判明した.これに対し、牛胎児血清や子牛血清には大きな効果は認められなかった.また、各種の成長因子の効果を調べたところ、IGFとTGF-ss1は細胞の生存を維持する活性があり、TGF-ss1には拍動周期を短くし、維持する働きのあることが明らかとなった.これに対し、EGE, FGF, PDGF等には際立った効果は認められなかった.そこで、ラットまたはウマ血清とIGF、TGF-ss1を添加した条件下で培養を行なったところ、細胞は比較的よく並び、心筋細胞の形態が保存され、介在板様の構造を形成することが確かめられた.しかし、この条件下では繊維芽細胞の増殖が激しく、介在板形成に必要であると考えられている長時間の培養は困難であった.そこで、細胞をAraCで処理し、細胞の増殖を阻害する培養法を試みたところ、介在板によく似た構造を形成させることに成功した.
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