平成15年度研究実施計画に基づき研究を実施し、以下の成果を得たので報告する。 1)EXIPに結合する因子の同定を行った。 Yeast-Two-Hybridを用いて、p38に結合することなくEXIPに特異的に結合する因子を探索し、候補となるクローンを分離するに至った。現在、そのクローンの細胞における機能をEXIPとの共発現により解析中である。 2)EXIPの機能領域の検討を行った。 p38の機能から予想されるEXIPの重要なアミノ酸を変換することにより様々な変異体を作製し、細胞死誘導に不可欠な機能を検討した。P38を対照とした場合に比べ、EXIP変異体間での細胞死誘導能、タンパク質の安定性など細胞学的、生化学的な検討でも差異は小さく、結論を導き出すには至っていない。 3)mRNAの発現をRT-PCRで追跡した。 EXIP遺伝子発現制御機構の解析の一環としてmRNAの発現をRT-PCRで追跡するとともにEXIPのC末を特異的に認識するペプチド抗体を作製し、ウエスタンブロッティングを用いて内在性のタンパク質の検出を試みた。その結果、スタウロスポリンなどの細胞死を誘導する物質により、HeLa細胞におけるEXIPmRNA量が増加することを見いだした。また、新たに作製した抗体により、過剰発現のEXIPに加えて、血球系の細胞で内在性タンパクの発現を確認できたので、今後は、通常の培養で発現が検出できる血球系の細胞を中心にして発現制御機構の解析を行う。
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