平成16年度研究実施計画に基づき研究を実施し、以下の成果を得たので報告する。 1.EXIPに結合する因子の解析。 Yeast-Two-Hybridを用いて、p38に結合することなくEXIPに特異的に結合する因子を探索し、候補となるクローンを、15年度、分離するに至った。塩基配列を決定したところ、Tollipであることが明らかになった。Tollipは、自然免疫に関与する様々な受容体直下に位置するアダプタータンパクとして同定され、NF-κB経路を抑制することが知られていた。そこで、これらの経路におけるExipの機能を検討したところ、Tollipに加えてIRAKにも結合することが明らかになった。さらに、HeLa細胞にExipを過剰に発現した際に、Tollipと同様にNF-κB経路を抑制することも明らかになった。以上のことより、免疫応答に於けるこれまでのp38の機能とは別に、Exipが自然免疫において異なる役割を果している可能性が考えられ、更なる解析が重要になった。 2.EXIPの発現制御機構の解析。 15年度、新たに作製した抗体により、過剰発現のEXIPに加えて、血球系の細胞で内在性タンパクの発現を確認できたので、16年度は、通常の培養で発現が検出できる血球系の細胞を中心にして発現制御機構の解析を行った。THP-1細胞においては、42度の高温で培養した場合に、Exip量の増加が見られた。一方、炎症性サイトカインによっては、変化が見られなかった。
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