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2004 年度 実績報告書

エスニック・マイノリティとしてのチェコのロマの歴史と現在

研究課題

研究課題/領域番号 15510197
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 雪野  東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (40226014)

キーワードチェコ / スロヴァキア / ロマ / 多文化共生 / 多文化社会 / 他民族共生 / 多民族社会 / マイノリティ
研究概要

ロマは、文字記録を持たなかった民族であり、そのため、ロマに関する記録は、非ロマによる偏見や誤解に充ちたものであることが多い。これは、チェコのロマについても同様である。近年になって、チェコのロマ自身が自らの歴史を語り、書く機会が増えてきた。一つは、1980年代から始まったホロコーストに関するオーラル・ヒストリーの収集によるものである。これは、非ロマの歴史家により収集され、体制転換後の1990年代以後も収集が続けられると同時に、出版も行われている。ロマ自身による文字記録が稀な中で、オーラル・ヒストリーの意義は大きく、ホロコーストに関する記録のみならず、それ以前のロマの状況について知るためにも有益な資料である。
また、ロマ系の歴史家としてダニエル(故人)やホルヴァートヴァーが、ロマの歴史を書いてきた。後者は、現在、ロマ文化博物館の館長であり、チェコ政府少数民族評議会でもロマの代表を務めた。ロマ文化博物館の顔である館長が、非ロマからロマになったことは、博物館が自らのものであることをロマに実感させることになったと思われる。
2004年のチェコのEU加盟とも関連して、チェコのロマに関する様々なプロジェクトが行われている。非ロマのロマに対する偏見や攻撃は根強いが、2004年からインターネット上で、非ロマ向けのロマに関する啓蒙・教育プログラムが始まった。ロマと非ロマの共生には、両者に対する教育が重要であるが、非ロマに対する教育活動がようやく始まったことは大変望ましいことであり、このプログラムの今後の充実・拡大に期待したい。そのほか、2002年に市民団体によるロマ・ショップが開店し、ロマ関連のCD・民芸品・書籍などに一般の人々や観光客が触れる機会が増した。また、伝統音楽に限らないロマ系音楽家への注目も増し、ロマ系「スーパースター」の誕生が、ロマに対する偏見解消に繋がる可能性もある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Japonci a turistika2004

    • 著者名/発表者名
      佐藤 雪野
    • 雑誌名

      Cestovani vcera a dnes.Casopis pro pruvodce a pracovniky cestovniho ruchu 1巻2号

      ページ: 41-45

  • [雑誌論文] チェコにおける連邦正論と国家権概念-1848年〜1914年-2004

    • 著者名/発表者名
      佐藤 雪野
    • 雑誌名

      西洋史研究 新輯33号

      ページ: 83-95

  • [雑誌論文] 教員に関する国際比較試論-チェコ、日本、イギリス-(4)2004

    • 著者名/発表者名
      佐藤雪野, リハルト・ルージチカ
    • 雑誌名

      東北大学大学院国際文化研究科論集 12号

      ページ: 139-147

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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