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2006 年度 研究成果報告書概要

「マケドニア」意識の多義性と「民族」形成における国際関係要因

研究課題

研究課題/領域番号 15510202
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 地域研究
研究機関広島市立大学

研究代表者

大庭 千恵子  広島市立大学, 国際学部, 助教授 (10256026)

研究期間 (年度) 2003 – 2006
キーワード東欧現代史 / バルカン現代史 / マケドニア問題 / 国民国家体系 / 少数民族問題 / 内部マケドニア革命組織
研究概要

申請者は本研究において、「マケドニア」における民族意識の形成過程を、歴史的状況や地域的特殊状況を踏まえつつ、人々の意識(個人的アイデンティティの次元)バルカン半島における「国民国家」形成次元、そしてそれらを取り巻く国際関係の次元、それぞれの相互関係性に着目して、実証的に明らかにすることを目的とした。考察に際しては、検討時期を第一次世界大戦直後から1924年までに限定し、かつ検討対象をマケドニア運動の動向に絞った。
本研究報告書は、以下の三点を研究成果として確認した。
1.第一次世界大戦直後の国民国家体系において、「マケドニア問題」は、領土問題から少数民族問題へと本質的に転換した。その後、マケドニア運動は、国境線によって分断されたマケドニア地域の統一を志向して国民国家体系に異議申し立てを行うとともに、その中で多様なマケドニア意識に基づいた多様な運動が展開したことを確認した。
2.マケドニア運動の主な担い手のひとつであった「内部マケドニア革命組織(英語の略称IMRO=イムロで知られているが、本研究はBMPO=ヴムロと略。)」は、ブルガリア政治と結びつく一方で、いわゆる国民国家体系の基盤となる自決権の主体としての「民族」とは別のあり方の可能性を、バルカンにおける連邦主義と結びついて、示唆していた。申請者は、外部からの影響力すなわち国際関係要因だけでなくマケドニア内部からの葛藤や矛盾が交錯する多様なマケドニア意識の模索の中にこそ、1920年代前半のマケドニア運動の特徴と、そこで使用されていたnarod概念の可能性があったことを確認した。
3.ただし、その可能性は、1924年のBMPOとコミンテルンとのやり取りの中で、地域的な概念としての「マケドニア」が、やがて民族的な意味を含有する「マケドニア人」へと変容する過程に吸収されていった。このとき改めて「民族」としてのnacija概念が使用されていくことを、「五月宣言」の成立とその公開をめぐる一連の経緯の中で、確認した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 内部マケドニア革命組織「五月宣言」(1924年)における国際関係要因2006

    • 著者名/発表者名
      大庭 千恵子
    • 雑誌名

      広島国際研究 第12巻

      ページ: 29-54

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] "International Factors in the "May Manifest" of an Internal Macedonian Revolutionary Organization (1924)"2006

    • 著者名/発表者名
      Chieko OBA
    • 雑誌名

      Hiroshima Journal of International Studies Vol. 12

      ページ: 29-54

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] 第一次世界大戦直後のマケドニア運動の多様性とその統一にむけての試み-ブルガリアにおける1923年6月9日クーデタとの関連で2005

    • 著者名/発表者名
      大庭 千恵子
    • 雑誌名

      広島国際研究 第11号

      ページ: 31-61

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Some Observations on Diversity and Unification in the Macedonian Movements after the First World War; Reflection of the Bulgarian Coup d'Etat of June 9, 19232005

    • 著者名/発表者名
      Chieko OBA
    • 雑誌名

      Hiroshima Journal of International Studies Vol. 11

      ページ: 31-61

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2008-05-27  

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