平成16年度のおいては、タタールスタンについてのデータを収集した。特に、2005年2月のモスクワ、カザン出張では大きな成果が得られた。 2005年2月22日にカザン市副市長(タタール人、51歳)、ファミリーレストラン経営者、女性企業家(ユダヤ人、47歳)、23日に女性のための危機センター"ファチマ"所長(タタール人、48〜49歳)、タタルスターン・ザックス統括長(タタール人56歳)、24日にタタール共和国下院副議長(タタール人、50歳前)、家族サービスセンター"ガイリャ"所長(ロシア人、52〜53歳)に対してインタビューを行った。今回のインタビューでは、現在のタタールスタンのエリート女性と呼ばれる、脱社会主義ロシア・タタールスタンで成功を収めている女性6人に対して成功までの道のり、家庭などについて語ってもらった。今回のエリート女性の多くが、筆者の研究テーマであるジェンダーに関して仕事の上で何らかの政策・実践を行っている。彼女らの意見は本研究に大いに役立つものである。また、来年度にカザン市で予定しているジェンダーに関する意識調査のパートナーとなるカザン医学大学社会学研究室を訪問し、来年度の夏までにアンケート調査を行うことを決定した。今年度の研究結果から次のような課題を次年度に残すことになった。それは、ソビエト化について、例えば、タタールスタンとウズベクなどの中央アジア諸国との違いである。現在、中央アジア諸国はロシアではないが、ソビエト化された大きな空間に70年近くあったわけである。そして同じムスリムであるタタールスタンとソビエト化においてどのような違いがあるのか、あるいはなぜ現状が異なるのかについて考察する必要がある。筆者は、ロシアとの距離、ロシア人率、あるいはカザンの革命前の知識人の存在などがソビエト化の違いに影響を与えているのではないかと仮説を立てている。これらについてアンケート調査、分析と同時に研究を進めていくことが2005年度の課題である。
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