• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

インドにおける経済自由化と都市労働者-長期的な生活設計構築のための社会学的研究-

研究課題

研究課題/領域番号 15510207
研究機関九州国際大学

研究代表者

樋口 里華  九州国際大学, 国際商学部, 講師 (40330956)

キーワードインド / 経済自由化 / 工場労働者 / 世帯戦略 / リストラ / 都市 / 失業 / 合理化
研究概要

経済自由化後のインドでは、リストラの進展により、フォーマル・セクターで雇用されていた労働者が失職するケースが増加している。安定的雇用を失った労働者の多くは、階層の下降移動を経験し、無力感などにより長期的な視点で将来設計が立てられない。短絡的な対応は、世帯の将来に重大な負の影響を与える可能性が高い。そのため、失職者に対する経済・社会・心理的側面からの複合的な実証研究を行うことにより、セーフティーネットが不備なインドで、労働者世帯の将来的な安定のために必要な方策について考察することが本研究の目的である。
今年度は、(A)合法的に閉鎖するために2000年に全労働者を「希望」退職させた工場の労働者と、(B)同年に非合法に閉鎖した工場の労働者、各50名を対象にインタビューを実施し、下記の知見を得た。
(1)(A)は経営側から閉鎖の説明がなされた上で「希望」退職の手続きがとられ、補償金を含む退職関連の費用をすべて受給しているため、失業を現実のものとして受容し、失業後の新しい生活を本気で模索している。それに対して(B)は、閉鎖後1年以上の間、経営側からは閉鎖について正式な説明がなく、閉鎖後に何も受給していないことから、労働者は失職したという意識が低く、再操業への期待感が非常に強かった。それゆえ、工場との雇用関係に心理的に束縛され、新しい生活をするための求職意識・活動が著しく低迷している。
(2)(1)の現象のため、(B)は現実には失業状態であるにもかかわらず失業意識が低く、大半の者が従事せざるを得ないインフォーマル・セクターでの就業に対する耐性が低い。それが生計をより悪化させている。
以上の点から、非合法の閉鎖は、補償や生計などの直接的な経済問題や労働法規上の問題を引き起こすだけでなく、労働者の求職意欲・就労意欲にもかかわる非常に重要な問題を発生させていることが明らかである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 樋口里華: "経済自由化に揺れるインドの労働者-失職後のムンバイ-綿工場労働者の対応を事例として-"九州国際大学国際商学論集. 15巻1号. 121-144 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi