研究概要 |
17年度は、「民主主義」に関して、イランで、西欧政治思想との比較研究を行っている数少ないウラマーであるAhmad Vaezi師の論考を翻訳した。さらに「正義」の概念を軸にして、リベラリズムとの比較を試みるべく、Doktor Mohammad Hosein Jamshidiの著書、Nazarie-ye Adalat -az didegah-e・Farabi, Emam・Khomeini, Shahide・Sadrの読み込み作業とその概要訳出をおこなった。これは、「一神教の学際的研究」Cismorの2005年度報告書の一部にも、報告される予定である.正義は抽象的であり、さらに加えてその裾野はアリストテレスの正義論から、最近ではJohn・Rawlsに及ぶ極めて幅広いテーマのため、これによる比較作業のとりまとめはさらなる研鑽を必要とするが、イランの国際政治上の諸問題たとえば中東和平とイスラエルに対するイランの姿勢、また、核開発問題におけるその姿勢の背後には、シーア派に脈打つ正義観(本来所有する権利を力によって奪うことは不正である)があることは指摘が可能であろう。 また、年度末にはイランへの出張を当該費にて行い、イランの最高意志決定機関付属の研究機関「イラン戦略研究センター」との交流とその紹介による研究者の紹介を受けることができた。
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