15年度におけるアメリカ、イェール大学におけるアジアのバイブル・ウーマンの実態に関する資料調査、また神戸の聖和大学、神戸女学院大学における、日本におけるバイブル・ウーマンの教育についての資料調査をもとに、文化の橋渡し、あるいはハイブリッドとしてのバイブル・ウーマンの役割と言語の重要性を確認するとともに、日本における特徴的な状況を認識した。すなわち、教育水準が高く、急速な近代化を進めた明治日本において、バイブル・ウーマンはより高度に専門職化し、言語補助者から近代化の主体にまで変化したのである。そのカタカナ名が表すように彼女たちをいわゆる通訳、翻訳家としてではなく、まさに文化的翻訳の現象を体現する存在として論ずる論文、"Bible Women as Translation"において、明治近代化における専門技能を持った女性としてのバイブル・ウーマンを論じたことから、そのような女性と技能という問題についての国際シンポジウムを計画し、平成16年5月25日、千葉大学において、国際コロキアム"Womanly Expertise : Women's Skills and Modernization of Japan"を開催し、内外から歴史、美術史、文学などの多彩な研究者を招いた。当研究者も、その発言者のひとりとなり、"Bible Women as Translation"の発表をおこなった。このシンポジウムの論文はすべて研究報告書に収めている。平成17年3月にはさらにバイブル・ウーマンの教育の問題を調査するために、聖和大学に2度目の調査をおこなった。
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