今日、両性にとっての仕事と家庭の両立について考えるとき、「父親の育児休業」は重要な課題である。男女平等社会のためには、父親も母親と同等に育児休業を取る必要がある。本研究は、マクロ、ミクロ、メゾの3つのレベルに焦点を当てた。 第1にミクロレベルで、以前に日・仏・瑞の3カ国で行った両親インタビューの結果を性別役割分担に注目して分析し、基本的な4タイプを抽出した。平等主義タイプ、役割逆転タイプ、女性の二重役割タイプ、男性の二重役割タイプである。 第2にマクロレベルで、フランス、ノルウェー、スウェーデンの育児休業制度を調査した。ノルウェーとスウェーデンは共に「パパ月」の制度を持つが、スウェーデンは在宅育児手当政策を取らなかった点で、ノルウェーよりも革新的である。フランスはパパクオータがないが、出産時の父親休暇を11日に拡大した。日本は相対的に遅れているが、変化も始まっている。 第3にメゾレベルで、日本の先進企業の調査をした。ある競争的なコピー機の大企業では、男女の区別なく合理的で柔軟な働き方の多様な設計を可能にしていた。ある女性社員の多い大手化粧品会社では、設備のよい企業保育園と一週間の男性向け有給出産休暇を与えている。従業員20人の小さな塗装会社では、個別のきめ細やかな経済的支援と働き方の変更を可能にしていた。これらの例から、企業サイズが問題なのではなく、革新は経営者の考え方に依っていることがわかる。 本研究を通じて、社会モデルを探求することの重要性に気付いた。ナンシー・フレイザーの「総ケア提供者モデル」は興味深い。
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