インタビュー調査の協力者総数は26名であり、年代別では、20代8名、30代10名、40代8名だった。うち、インタビュー時に同居生活をしている人は16名、過去に同居経験がある人は3名、別居形態でのカップルは6名、つきあった経験のない人は1名、また、カップルでインタビューに応じてくれたのは8カップル(うち、同居カップルは6組)である。 まず、家計に関しては、全ての人が収入を得ていた。その上で、収入に応じて家計分担をするケースが多かった。具体的には、「収入に応じて分担」が7組、「平等に分担」が4組、「別会計」が2組、「主に一方が負担している」が2組だった。家事分担に関しては、「主に一方が担っている」が6組、「平等に分担」が5組「状況によって適当に分担」が3組、「お互いの得意分野をそれぞれに分担」が1組だった。 家事分担の結果だけを見ると、どちらか一方のみが担う場合が多い。しかし、「主に一方が担っている」と答えている場合でも、自分の得意とするところと相手の得意とするところで分担するといったように、全般的に、得意・不得意によって分担されている場合が多かった。いわゆる「男役-女役」「タチ-ネコ」といった「性別役割」関係は、調査事例の中にはほとんど見られなかった。過去に「タチ(男役)」だったが現在はそうではない人が3名、現在そうである人またはそのような役割関係を相手から求められている人が各1名ずついた。「タチ」という役割を選択することの意味に関しては、今後の考察課題としたい。 また、同居カップルのうち6組が、猫、犬、鳥などをペットとして飼育しており、それらのペットがかけがえのない家族の一員となっている様子が伺われた。さらに、30代後半から40代の人の中には異性との婚姻経験のある人が6名おり(うち、5名が子どもを出産している)、婚姻生活を経てから女性に対する恋愛感情を意識するようになった人が少なくないことを示唆している。女性に対する恋愛感情を持つ上で、(インターネット前の)ミニコミ、マスコミなどのメディアとの接触が大きなきっかけとなっていた。現在では、インターネットが同性どうしの出会いの場を提供しており、「カップル・サイト」を開いている同性カップルも増えてきた。調査協力者の申にも3組のカップルがサイトを開いていた。サイトを通じてカップルどうしが交流する機会も増えてきているが、当事者が必要とする情報はまだ少ないことが伺われた。そのことは、自分たち以外の同性カップルがどのように生活しているかを知りたいという思いが、この調査に協力する動機とする人が非常に多いことからもわかる。
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