研究概要 |
本研究は、平成15年度から3年間、中央・地方政府のジェンダーの主流化について開発途上国の中では、制度上、実質ともに進んでいる南アフリカ共和国(南ア)ならびにフィリピンでフィールド調査を行い、その要因について分析する。その上で、経済先進国でありながら、ジェンダーの主流化に関しては遅れている日本の地方自治体におけるジェンダー主流化のためのチェックリストを作成する。 本年度は南アの地方政府のジェンダー関連部局担当者、議員、学識経験者やNGOに対する面接調査を中心にフィールド調査を実施した。地域は首都のあるプレトリア、国会所在地の西ケープタウン、最大の都市であるヨハネスブルグとホウテン州である。 地方政府のジェンダーの主流化をすすめる要因として、ジェンダー平等委員会の役割、州および地方政府のジェンダーフォーカルポイントと中央政府ジェンダーフォーカルポイントの関係、NGOとの連携、女性議員との連携などがあるという仮説はある程度実証された。 南アでは、1998年にMunicipal Structures Act,2000年にMunicipal Systems Actなど地方政府に関する法律が整備されてから、自治体では総合計画の策定など始めた。総合計画や予算にジェンダーの視点をどのように入れ込むかについて、プレトリア市ではジェンダーフォーカルポイント、ホウテン州では女性議員の力量とネットワークによることが明らかになった。 日本の男女共同社会基本法やフィリピンの女性の開発と国家建設法のような基本的な法律として、南ア憲法には、ジェンダー平等委員会の設置が定められ、ジェンダー平等委員会法が制定されている。このような政府の基本的法制度並びに自治体のジェンダー主流化の関連についてさらに分析を進めたい。
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