• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

現代キリスト教思想における女性観の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15510229
研究機関大阪キリスト教短期大学

研究代表者

池田 美芽  大阪キリスト教短期大学, 神学科, 助教授 (60290243)

キーワードキェルケゴール / エディット・シュタイン / 女性 / キリスト教 / 他者性
研究概要

3年の研究のまとめとして、キェルケゴールの伝記に関わる対レギーネ関係の問題と、そこから彼の実存思想の問題点として、女性を対等の他者として認めず、そこに人間関係や倫理の問題における不自然、不都合が生じることを中心に、キェルケゴールとレギーネの関係の「不幸」を新しい視点で考察する発表を、国際学会で行うことができた。それは、第一にキェルケゴールのレギーネに対する関係の不幸の根源が、彼の他者理解に存し、そのことがキリスト教的な隣人愛や対等の立場での人間の交流を不可能にする形で働いたこと、無論彼の隣人愛の思想にはそれを超えるものの萌芽が見られるが、彼は生前にはそれを実現できなかったこと、従ってレギーネの立場から見れば、キェルケゴールの愛は一方的で一面的なものでもあったことを指摘した。このことは、従来のキリスト教理解における神関係が、しばしば対等の隣人関係と両立しがたく思われたことを象徴している。
これに対しエディット・シュタインは、女性の特性を「行動的共感」に見出している。これは注目すべき概念である。エディット・シュタインは現象学から出発しキリスト教スコラ学と神秘主義への道を見出したが、その中で彼女は、たえず人間が自己であると共に他者に開かれた存在であり、唯一の他者としての神とのかかわりが本質的に他者との共感関係を作り出すことを指摘する。エディット・シュタインの「女性論」はわが国ではまだ全訳が出ていないが、それを精読することで、ジェンダー論が単に社会的性決定の問題でなく、女性、男性という本質にかかわり、しかもそれが人間としてのより深い人間理解に向かうことを示唆している。無論エディット・シュタインの議論には時代的な限界も見えるが、何よりも他者への共感論を中心としたキリスト教理解は、従来のキリスト教の女性論と一線を画するといえよう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] レギーネとキェルケゴール-その関係の再考察-2006

    • 著者名/発表者名
      森田美芽(池田美芽)
    • 雑誌名

      新キェルケゴール研究 4

      ページ: 23-41

  • [雑誌論文] キェルケゴールにおけるキェルケゴールと女性2005

    • 著者名/発表者名
      森田美芽(池田美芽)
    • 雑誌名

      日本の神学(日本基督教学会) 44

      ページ: 41-62

  • [雑誌論文] エディット・シュタイン『女性論』の構造2005

    • 著者名/発表者名
      森田美芽(池田美芽)
    • 雑誌名

      神学と人文(大阪キリスト教短期大学紀要) 45

      ページ: 99-109

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi