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2006 年度 実績報告書

近現代哲学における表象とエクリチュール

研究課題

研究課題/領域番号 15520003
研究機関筑波大学

研究代表者

谷川 多佳子  筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (30155204)

キーワード表象 / エクリチュール / デカルト / ライプニッツ / 経験 / 主体 / 空間 / デリダ
研究概要

本年度は最終年度にあたり、全体の発展とまとめに多くの作業を費やした。まず主軸である西洋近代については、デカルト、ライプニッツとその周辺の諸問題の研究を続行した。ライプニッツについて成果の1部を発表した(『ライプニッツを学ぶ』世界思想社)。デカルトについては『情念論』を基礎研究として、さらに同時代や近代の情念とその表象について研究を進めた(これについては今年度は成果の刊行に至らなかったが、今後1〜2年をかけて著書を準備する予定であり、また、基礎研究となるデカルト『情念論』については翻訳・注を年内に刊行できる予定である)。また、デカルト、マルブランシュ、ライプニッツ、スピノザ等、17世紀を中心とした研究--さらに現代哲学へのつながりも含めた--については、本研究の過程で刊行したものや成果をまとめて刊行すべく、現在出版社と交渉中である。
こうした西洋近代についての研究と、日本思想、さらにはそれ以外の異なる文明を比較し、つないでいく方向への研究の進展は今年度は大きかった。まず和辻哲郎の業績から、文明の対極と比較を明らかにしていく視座をみいだし、デカルトの『気象学』を背景に考察をすすめた(論文「砂漠の表象-和辻哲郎の『風土』をめぐって」)。これを出発点としてさらに、井筒俊彦の仕事を追いながら、文明の差異を、エクリチュールの観点から明らかにする取り組みを行った。これについては2006年12月に来日したパリ第7大学エクリチュール研究センターのアンヌ=マリ・クリスタン教授から貴重な情報収集を行うことができた。この方向はさらに、デリダのエクリチュール論やフーコーとの論争につながり、そこから、デカルトのコギト、そして西洋近代の「経験」と「主体」につながるものである。この方向での論文は「主体と空間の表象-人間・表象・エクリチュール」の題でまとまるに至った。ただし今年度の刊行に間にあわなかったので、来年はじめに刊行される。また、この方向での諸論考をまとめたものを出版する計画がなされている。
4年間にわたる本研究は、このようにかなり豊かで広範な成果に達しえたと思われる。今年度刊行の研究成果はまだあまり多くなかったが、上記のように、近く刊行されるものがかなり多く生産されつつある。4年間を顧みて、難航はしたが、辿り着いた地点は満足できるものと思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 砂漠の表象-和辻哲郎『風土』をめぐって2007

    • 著者名/発表者名
      谷川 多佳子
    • 雑誌名

      北アフリカ学にむけて 1号

      ページ: 11-17

  • [図書] ライプニッツを学ぶ2007

    • 著者名/発表者名
      酒井潔, 佐々木能章, 谷川多佳子ほか
    • 総ページ数
      290
    • 出版者
      世界思想社
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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