研究課題
本年度は、村田は、いわゆる「技術倫理」ないし「工学倫理」と呼ばれる倫理のあり方に関して、技術の創造性、予見不可能性といった観点を真剣に受け取るとどのように考えられねばならないかを検討した。その結果、技術倫理を専門家の倫理とみなす通常の見方のみでは、大きな組織内で生じる大事故を防ぐには不充分であること、明確に定式化される規範よりも失敗可能性を重視する「文化」を現場に定着させることが重要であること、また、専門家の規範を超えた「市民の徳」という観点が重要であること、などを示した。岡本は、ブリッジマンの操作主義の形成と発展の過程をたどることによって、ブリッジマン自身の操作主義という観点には、旧来の因果的世界観の影響が色濃く見られ、そのために、量子力学の受容などの過程には必ずしも上手く、対応できなかった面のあることを示した。また、19世紀の物理学研究の実態を伝える実験機器の調査を通じて、自然科学の発展において、産業・軍事等の場面で開発された技術の水準が決定的な意味をもつ可能性があること、そのような学問と技術の結びつきが西洋で誕生・展開した自然科学の顕著な特徴であることを解明した。
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思想 970
ページ: 4-23
University of Tokyo, Center for Philosophy Bulletin 4
ページ: 36-47
Historia Scientiarum 14・1
ページ: 1-48
Ph.D.dessertation, the University of Tokyo