研究課題
基盤研究(C)
平成15〜17年度において、道元の思想構造を「時間論」という観点から総括的検討をおこない、その成果の一部については、17年11月に、研究代表者である頼住が、NHK出版から「道元 自己・時間・世界はどのように成立するのか」(哲学のエッセンスシリーズ)を出版した。本書においては、仏教思想の根本的概念、である「無自性-空-縁起」ということを軸として、道元の、自己観、時間観、世界観が成り立っていることを説明し、さらに、それらを明らかにする際の、道元の表現を、「無自性-空-縁起」についてあらわすのではなく、「無自性-空-縁起」そのものをあらわすものとして、その構造を解明した。時間論については、『正法眼蔵』「有時」巻の註釈を行いつつ、その全貌の解明につとめ、それが「今」という瞬間における、自己の主体的存在把持としてとらえられており、過去と未来もこの「今」の時にすべて収束すると考えられていることを明らかにした。また、この「今」の時への収束という特異な時間論が、修行とさとりとの一体性を示す「修証一等」であり、この「一等」性は、道元の思想のすべてに相似形的に見られる概念であることを明らかにした。時間論の範囲でその「一等性」をいうなら、たとえば「因果同時」となる。原因と結果という、通常の時間観念では前後として捉えられるべき事象が、道元の特異な時間論においては、「今」の時に収斂するものとして、同等のものとなるのである。さらに、道元の特異な時間論、世界観を日本思想史の中に位置づけるべく、神秘主義思想日本思想史方法論の観点からも道元思想について検討を行い、その成果の一部を論文発表のかたちで公開した。
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