今年度は、昨年度に引き続き、1、研究発表および研究交流、2、論文発表、3、資料、文献収集を中心に研究課題に関する研究を行なった。 1、研究発表および研究交流。研究課題である哲学・倫理学と農業との接点を探るために、昨年度に引き続き、東北大学大学院農学研究科を中心とする研究会等で研究発表および研究交流を行なった。同研究科は平成11年度から「生命圏倫理学」の講義を開講しており、16年度には講義担当者の一人として課題研究の成果の一部を講義等に生かすことができた。また、同研究科の生命圏倫理学の研究成果と課題をまとめる活動として、生命圏倫理学の論点を倫理学の立場から明確にする作業に従事し、その成果の一部を東北大学農環境倫理研究会で報告し、議論を深めた。 2、論文発表。(1)、上述の研究の成果の一部は、『生物科学』第56巻第3・4号の特集「生命圏倫理学:"農"の視点に立って」に収録され、そこで、生命圏倫理学の体系性と統一性の構築に向けて、主として生命圏倫理学の論点を、農業倫理学、環境倫理学、生命倫理学のそれを統合するものとして理解し、それらの重なりと違いを確認した。(2)、また、研究課題と密接に関連する環境倫理学および環境哲学について、1970年代に成立した米国での成立過程に関する研究を行なった。これについては、まだ今後補充するべきところもあるので、随時研究成果としてまとめていく予定である。(3)、さらに、徳倫理学の一部に数え入れられてよいM・シェーラーの倫理学説に関する研究を行い、論文として発表した。 3、資料・文献収集。米国の最近の文献、資料はある程度収集できたが、絶版等で入手不可能な文献も多い。いくつかの方法を利用して今後も収集に努める予定である。
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