平成16年度は、ロシア科学アカデミー東洋学研究所における滞在研究を予定通り7、8月に実現することができた。この間、東洋学研究所が主催した第37回国際アジア・北アフリカ研究会議(ICANAS-37)の仏教学部門において発表(露語)を行った。「O metafizicheskam mirovozzrenii VI. Solov'eva s tochki zreniya Makhayany」と題された発表論文は『Chelovek』nauka Moscowに掲載予定である。 5月には、カトリック系財団法人真生会館の主宰による"東方キリスト教の霊性・神学・美術を学ぶ"連続講演会で、「ソフィア-ロシア宗教哲学の視点から」と題して公演を行った。また11月にはプロテスタント系の宗教対話プログラムで「東方教会、ロシア正教会の霊性をめぐって」と題しての公演、また三田哲学会では「ソロヴィヨフの形而上学的世界観と大乗仏教的観点」と題して講演を行った。また3月には国際宗教学宗教史会議第19回世界大会での発表を予定しており、平成16年度としては、以上のような国内外での活動を通して本研究の目的の実現に向けて研究実績を積み上げている。 平成15年度の研究助成で3月に訪問し資料収集の機を得たロシア国立文芸文書間の文献は、V.ソロヴィヨフの仏語自筆草稿「ソフィー」の翻訳に生かされ、"エイコーン 東方キリスト教研究"誌29号(28-61頁)と30号(38-56頁)に掲載出版された。続けて来年度31号にも掲載予定である。
|