研究課題/領域番号 |
15520025
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
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研究分担者 |
大橋 容一郎 上智大学, 文学部, 教授 (10223926)
田中 裕 上智大学, 文学部, 教授 (70197490)
渡部 清 上智大学, 文学部, 教授 (00053661)
勝西 良典 上智大学, 文学部, 助手 (70384162)
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キーワード | アウグスティヌス / カント / 意志 / 超越論的自由 / 道徳心理学 / 幸福論 / 宗教哲学 |
研究概要 |
本研究の2年目(平成16年度)は、個人研究と合同研究の両面で、それぞれの研究分担領域での着実な進展をみた。 (1)古代後期における「意志」概念の成立。 前年度の研究成果を携えて、大学の夏期休暇中にドイツを2週間訪問。ミュンヘン大学グラープマン研究所、及びヴュルツブルク大学古典学研究所M.エルラー所長、同地のアウグスティヌス研究所C.マイアー教授らと意見交換を行なった。アリストテレスの実践的推論の「結論」を行為と切り離された「判断」にとどめ、これを実際の行為へと媒介する「同意」を擬似的な行為とする点に、ストア派における意志概念の萌芽がある点が改めて確認された。ただセラピー概念の視点からエピクロス主義を評価するエルラー氏との共同研究を通じて、古代における複雑な学派間の交渉や影響関係を跡づけることも新たな課題として浮上してきた。(以上担当:荻野) (2)カント哲学およびドイツ観念論における「根源悪」の問題。 今年度から文学部助手勝西良典氏の参加を得て、カントの行為論の問題の整理が大幅に進捗した。特にカントの「永久平和論」をめぐるハーバーマスの最近の議論の検討を通じて、フランス革命に関する従来のカント理解を修正し、また根源悪をめぐる宗教論の議論も射程に入れることで、定言命法をめぐる「意志の自律と他律」を再解釈する試みを行なった。(以上担当:大橋/勝西) (3)近代日本の宗教哲学における自我論の受容と変容。 西田幾多郎の中期以降の哲学におけるフィヒテなどドイツ観念論の影響とその超克を正確に跡づけることを課題として研究を進め、さらに西田以前の明治期の思想家の問題も発掘しつつある。成果は最近発足した西田哲学会の次年度に公表予定。(以上担当:田中/渡部)
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