研究課題/領域番号 |
15520025
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
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研究分担者 |
大橋 容一郎 上智大学, 文学部, 教授 (10223926)
田中 裕 上智大学, 文学部, 教授 (70197490)
渡部 清 上智大学, 文学部, 教授 (00053661)
勝西 良典 上智大学, 文学部, 助手 (70384162)
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キーワード | 仏教とキリスト教 / アウグスティヌス / カント倫理学 / 自由 / 道徳心理学 / 宗教哲学 / ドイツ観念論 / 意志(意図) |
研究概要 |
研究の最終年度に当たる本年度は、昨年までの研究を集約して以下のようなまとめを得た。 (1)西洋哲学における「意志」概念の源泉に相当する「われわれのうちにあるもの」(epi hemin)に関して、後期ストア派、特にエピクテトスとマルクス・アウレリウスにおける展開が跡づけられた。これについては07年度末に単行本として成果の一端を刊行する予定。 (2)同時にこの概念が、仏教的な「如意」の思想として近代日本思想史に接続する状況を跡づけた。その結果、西田哲学を孤立した(独創的な)日本独自の思想としてのみならず、明治期の西洋哲学の受容史のうちに置き据えることにより、これまで仏教、特に禅との比較でのみ論じられがちであった西田哲学を、キリスト教の受容史の視点から読み直すという新しい視座を獲得しつつある。これについては渡部によって引き続き研究が継続される。西田に関しては新カント派を経由するかたちで大橋によって、また東西の比較霊性史の見地から田中によっても積極的な提題があり、とりわけ「自覚」と「意識」「人格」の概念的な結びつきが改めて問われることになった。清沢満之の新しい全集の刊行もあって、今後はストア倫理学と仏教思想、キリスト教修道思想の微妙な関係を歴史的、構造的に問題にしていく可能性が開かれつつあることは大きな前進といえよう。 (3)アウグスティヌスの内面的倫理思想の分析として、正戦論の祖とされる聖書解釈の検討により、中世盛期スコラ学の自然法思想との相違が明らかになった。これらについては単行本の形で刊行された (4)残された課題も依然として多い。そのうちでも、近年英米圏の哲学において「後悔」「自信(自負)」といった感情の分析が、モラル・サイコロジーの手法によって、また哲学史研究としても隆盛を見せている。こうした研究動向を睨みながら、従来の思想史の読み直しがどういった可能かについては、今後の課題でもある。
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