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2006 年度 研究成果報告書概要

「意志」と「自由」の概念をめぐる系譜学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520025
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 哲学・倫理学
研究機関上智大学

研究代表者

荻野 弘之  上智大学, 文学部, 教授 (20177158)

研究分担者 大橋 容一郎  上智大学, 文学部, 教授 (10223926)
田中 裕  上智大学, 文学部, 教授 (70197490)
渡部 清  上智大学, 文学部, 教授 (00053661)
勝西 良典  上智大学, 文学部, 助手 (70384162)
研究期間 (年度) 2003 – 2006
キーワード仏教とキリスト教 / アウグスティヌス / カント倫理学 / 自由 / 道徳心理学 / 宗教哲学 / ドイツ観念論 / 意志(意図)
研究概要

過去4年間の研究を集約して以下のようなまとめを得た。
(1)西洋古代哲学の領域では、実践的推論の結論を字際の行為に媒介する「同意」の概念から派生した「意志」に相当する「われわれのうちにあるもの(如意)」(epi hemin)に関して、後期ストア派、特にエビクテトスとマルクス・アウレリウスにおける展開が跡づけられた。これについては07年度末までに、単行本として成果の一端を刊行する予定。
(2)アウグスティヌスの内面的倫理思想の分析として、正戦論の祖とされる聖書解釈の検討により、中世盛期スコラ学の自然法思想との相違が明らかになった。これらについては単行本の形ですでに刊行された。
(3)同時にこの概念が、仏教的な「如意」の思想として近代日本思想史に接続する状況を跡づけた。その結果、西川哲学を、孤立した(独創的な)日本独自の思想としてのみならず、明治期の西洋哲学の受容史のうちに置き据えることにより、これまで仏教、特に禅との比較でのみ論じられがちであった西田哲学を、キリスト教の受容史の視点から読み直すという新しい視座を獲得しつつある。これについては渡部によって引き続き研究が継続される。西田に関しては新カント派を経由するかたちで大橋によって、また東西の比較霊性史の見地から田中によっても積極的な提題があり、とりわけ「自覚」と「意識」「人格」の概念的な結びつきが改めて問われることになった。清沢満之の新しい全集の刊行もあって、今後はストア倫理学と仏教思想、キリスト教修道思想の微妙な関係を歴史的、構造的に問題にしていく可能性が開かれつつあることは大きな前進といえよう。
(4)残された課題も依然として多い。そのうちでも、近年英米圏の哲学において「後悔」「自信(自負)」といった感情の分析が、モラル・サイコロジーの手法によって、また哲学史研究としても隆盛を見せている、こうした研究動向を睨みながら、従来の思想史の読み直しがどういった可能かについては、今後の課題でもある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2007 2006 2005 2003

すべて 雑誌論文 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 明治20年代の哲学会(界)-洋学としての「哲学」受容の経緯再考2007

    • 著者名/発表者名
      渡部 清
    • 雑誌名

      上智大学文学部『哲学科紀要』 第33号

      ページ: 99-118

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 実践に活かせる知性-情報社会の人間力2006

    • 著者名/発表者名
      荻野弘之
    • 雑誌名

      人間会議(宣伝会議) (冬号)

      ページ: 76-81

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] キリスト教の正戦論-アウグスティヌスの聖書解釈と自然法2006

    • 著者名/発表者名
      荻野弘之
    • 雑誌名

      正しい戦争」という思想(山内進編)(勤草書房)

      ページ: 111-144

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 「自覚」の形式と諸契機2006

    • 著者名/発表者名
      大橋容郎
    • 雑誌名

      西田哲学会年報 第3号

      ページ: 35-49

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 絶対者の人格性と非人格性をめぐって-人格的なるものと普遍なるもの2006

    • 著者名/発表者名
      田中 裕
    • 雑誌名

      東西宗教研究(東西宗教交流学会) 第5号

      ページ: 176-202

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 協働し欲求する理性-『純粋理性批判』の新たな精神形而上学2006

    • 著者名/発表者名
      勝西良典
    • 雑誌名

      ドイツ哲学の意義と展望(日本カント協会) 第7号

      ページ: 103-119

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Augustine on the Christian Justification of Violence2005

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki OGINO
    • 雑誌名

      L.Kuhenhardt hrsg., Schriften des Zentrum fur Europaischen Integrationsforschung(Nomos Verlag) Band 64

      ページ: 27-44

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] Whitehead, Physics2003

    • 著者名/発表者名
      T.E.Eastman, II.Keeton eds
    • 雑誌名

      SUNY Press

      ページ: 322

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [図書] 現代倫理学事典2006

    • 著者名/発表者名
      荻野弘之(編者代表:大庭健)
    • 総ページ数
      1075
    • 出版者
      弘文堂
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2008-05-27  

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