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2004 年度 実績報告書

直観主義における連続体の概念とブラウワーの哲学についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520026
研究機関専修大学

研究代表者

金子 洋之  専修大学, 文学部, 教授 (60191988)

キーワード直感主義 / ブラウワー / 倫理学の哲学 / 数学の哲学 / 構成主義
研究概要

平成15.16年度の二年問の研究期間を通じて、本研究では以下の諸点を明らかにすることができた。(1)ブラウワーの哲学は一見するときわめて観念論的・独我論的であり、従来の直観主義研究においては、直観主義数学および直観主義論理の体系とブラウワーの哲学とを切り離し、前者のみを研究対象とするのが通常であった。しかし、本研究を通して明らかになったことは、数学における言語の使用に対するブラウワーの批判を必ずしも観念論的に解釈する必要はなく、むしろ言明によって表現される内容とその内容の獲得プロセスとの分離不可能性の要求と解釈できる、という点である。この解釈により、数学・論理の体系とブラウワーの哲学とを一貫した形で理解できるようになった。(2)内容と内容獲得プロセスの分離不可能性の要求は、数学を概念的操作のシステムとしてではなく、心的行為のシステムと考えるというブラウワーの基本見解に基づいているが、この基本見解からブラウワーが可能性概念について二つの異なる概念-概念的可能性と行為的可能性-をもっていたことがわかる。そして、二つの可能性概念の相違を一種の仕掛けとして自覚的に操作することによってブラウワー独特の選列概念に到達することができるのである。したがって、内容とプロセスの分離不可能性の要求は直観主義解析学の基礎を与えているということが判明した。(3)内容とプロセスの分離不可能性を要求することの根拠は、ブラウワーが特定の内容に到るための個人的プロセスや背景を重視したことに基づいている。したがって、次の問題として、そのような個人的プロセスや背景を保存することの認識的な意義は何かという問題が生じてくる。現在のところ、この問いに対する解答としては「パースペクティヴの共有」という言い方しかできないが、この「パースペクティヴの共有」という認識的な概念を単なる言語的コミュニケーションを超えたものとして位置づけることによって、ブラウワー哲学の全く新しい解釈が成立しうる見込みが得られた。(4)ダメットの反実在論的直観主義とブラウワーの直観主義との関係について従来よりもより根本的なレベルでの比較を行うことができた。
以上の諸点についての解明を通じて、ブラウワーおよび直観主義そのものについて従来にない新たな解釈を提示できたと考える。これらの成果は、平成16年6月の「数学の哲学カンファレンス」での報告およびいくつかの論文を通して部分的に公開されている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004 2003

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Undetachability of prepositional content and its process of con- structon- Another aspect of Brouwer's intuitionism2005

    • 著者名/発表者名
      Kaneko Hiroshi
    • 雑誌名

      Annals of the Japan Association for Philosophy of Science

  • [雑誌論文] 意味論的実在論2004

    • 著者名/発表者名
      金子洋之
    • 雑誌名

      現代思想 第32巻・8号

      ページ: 86-87

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Brouwer's Conception on Language, Mind and Mathematics2003

    • 著者名/発表者名
      Kaneko Hiroshi
    • 雑誌名

      Annals of the Japan Association for Philosophy of Science Vol.11,No.1

      ページ: 35-49

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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