明治時代の国民道徳運動には、さまざまな潮流がある。その一つに、西村茂樹が日本弘道会を足場に、生涯にわたって精力的に推進した運動がある。 西村の主要著作は、三巻本の全集に収められ、その事績は浩瀚な伝記にまとめられている。しかし彼の活動はこれらに尽きるものではなく、国立国会図書館はじめ、全国各地の図書館・文書館・資料館等に、厖大な関係史料が未整理のまま収蔵されている。本年度は、国会図書館以下、東大・慶大・長野県立図書館等において、史料調査を行うとともに、西村はじめ明六社系洋学者が留学したオランダ・ドイツの関係機関において、その足跡と思想形成との関連を調査・研究した。
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