研究課題
本年度は、本科研費研究の最終年度にあたる。そこで、当初から計画していた第10回国際カント学会(サンパウロ)で発表を行い、3年間の研究を総括した。本発表では、これまでのカント研究の成果をもとに、日本国憲法を具体的テーマとして「人格性(理性)の普遍性」とその実現・実践の可能性の根拠を明らかにした。この発表は、様々な文化背景をもつ海外の研究者たちに新鮮な印象を与え、好評を得た。一方、上記とは別に、フランスのセミナーで2回の講演を行う機会を得た。それによって、研究を一層深めるとともに、新たな展開の方向性を見出すことができた。その新たな方向性とは、「平和的生存権の形而上学的基礎づけ」の問題である。国際学会での発表およびフランスでの講演のテーマは次のとおりである。(1)第10回国際カント学会での発表(サンパウロ、2005年9月4日):Philosophische Begrundung der "Achtung des Individuums" und des "allgemeinen Wohls" (Art.13 der japanischen Verfassung) nach Kant. (2)フランス国立科学研究センター(CNRS)主催セミナー≪Seminaire de philosophie et d'economie≫定例会での講演(エクサンプロバンス、2006年1月4日):Le pacifisme de la constitution japonasie : Lumieres kantiennes et situation contemporaine. (3)≪Cites≫編集部主催≪Cercle de Cites≫定例会での講演(パリ、2006年1月6日):Le Japon et la paix internationale au XXIe siecle -Les aspects constitutionnels-.なお、(3)の講演原稿は≪Le pacifisme de la Constitution japonais ; est-il un simple optimisme ou une lumiere au XXIe siecle? ≫と題して、フランスの学術誌≪Cites≫N^o27への掲載が決定しており、現在、印刷中である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Actes du Colloque international ≪Kant, les Lumieres et nous≫ (印刷中)
Akten des X. Internationalen Kant-Kongresses "Recht und Frieden in der Philosophie Kants" (Walter de Gruyter, Berlin) (印刷中)
Revue ≪Cites≫ (Presses Universitaire de France, Paris) 27(印刷中)
法の理論(成文堂) 24
ページ: 47-66