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2005 年度 実績報告書

朱子学の正統論・道統論とその東アジア的展開

研究課題

研究課題/領域番号 15520042
研究機関早稲田大学

研究代表者

土田 健次郎  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00120923)

キーワード近世思想 / 朱子学 / 道統 / 正統 / 中国:日本 / 浅見絅斎 / 治統
研究概要

前年までに朱子学の正統論と道統論の関係と、その日本への展開を調査し、日本朱子学における正統と道統の一致としての皇統の理論化を検証し、その日本的特性を明らかにした。本年はそれをふまえて、この正統と道統の一致論に類似する、中国の治統と道統の一致を説く正統論を検討した。治統論は朱子学の国教化、異民族政権の登場と関係し、元末から現れ、明、清と継続して見られる。この治統論と日本の正統論との間には本質的な差異があり、今回それを解明したことで、朱子学の正統論・道統論の日本的変容の実態がより鮮明になったと思われる。特に日本の皇統論が、江戸時代に入って朱子学によっていかに理論化されたか、それと同時に朱子学がいかに日本的変質を見せたかをを明らかにすることができた。また本年は江戸時代前期を代表する朱子学派である崎門の浅見絅斎が展開した反朱子学の代表者伊藤仁斎に対する批判内容を検討した。これによって朱子学者も反朱子学者もともに日本の日常性への接近を試みながら、その具体的展開に於いて差異を見せていく様態が明らかになり、それらの現象が正統論、道統論の展開とも無関係ではないことが知られた。これらの作業を通じて、日本における儒教の受容方式の基本的枠組みが浮かび上がった。一つの枠組みは「自覚化された儒教」と「自覚化されない儒教」で、朱子学の受容は前者に多く関わる。また前者の場合、「類型の共有」と「内容の分岐」の問題があることもあわせて摘出した。従来日本における儒教の影響論は曖昧な点が多かったが、これらの作業によってそれをかなり整理できたと考える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 近世儒学研究の方法的問題2006

    • 著者名/発表者名
      土田健次郎
    • 雑誌名

      近世儒学研究の方法と課題(汲古書院)

      ページ: 5-30

  • [雑誌論文] 東アジアにおける朱子学の機能-普遍性と地域性-2006

    • 著者名/発表者名
      土田健次郎
    • 雑誌名

      アジア地域文化学の構築(雄山閣)

      ページ: 232-250

  • [雑誌論文] 「治統」覚書-正統論・道統論との関係から-2006

    • 著者名/発表者名
      土田健次郎
    • 雑誌名

      東洋の思想と宗教 23

      ページ: 1-15

  • [雑誌論文] 浅見絅斎の伊藤仁斎批判-『語孟字義弁批』を中心に-2005

    • 著者名/発表者名
      土田健次郎
    • 雑誌名

      福井文雅博士古稀記念論集 アジア文化の思想と儀礼(春秋社)

      ページ: 243-260

  • [雑誌論文] 日本における宋明思想研究の動向2005

    • 著者名/発表者名
      土田健次郎
    • 雑誌名

      日本思想史学 37

      ページ: 80-91

  • [図書] 近世儒学研究の方法と課題2006

    • 著者名/発表者名
      土田健次郎編著
    • 総ページ数
      228
    • 出版者
      汲古書院

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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