1 インド大乗仏教瑜伽行唯識学派における解脱思想を、智と行の構造から解明するするのが本研究の目的である。本年度は、無著造『大乗阿毘達磨集論』Abhidharmasamuccayaを中心に、個々の修行階梯における菩薩の実践行が、迷いの知から悟りの智への転換をもたらす過程を、智の質的変換の視点から明らかにする作業に取り組んだ。 2 先ず基本資料として、無著造『大乗阿毘達磨集論』Mahayana Abhidharmasamuccayaと『大乗阿毘達磨集論』Mahayana Abhidharmasamuccaya-bhasyaとを左右ページに対校させ、個々の当該箇所について、梵・蔵・漢の対照させたテキスト(全3巻)を編集・刊行した。 3 このテキストを、さらに申請者早島のホームページから公開した。 http://www.shiga-med.ac.jp/public/yugagyo/ 4 同じく無著造『顕揚聖教論』特に「現觀品第八」における解脱・轉依の思想構造を智と行の視点から解明し、無著の著作のなかで、思想上の特色から『顕揚聖教論』→『攝大乗論』の展開課程であることを明らかにした。
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