研究概要 |
当該科学研究の二年目である今年度には、『無量寿経』の古訳である支婁迦讖訳『大阿弥陀経』のグロッサリー(詞典)と『大阿弥陀経』の校訂注釈本を引き続き執筆した。その詞典では、既存の辞書・研究書に出ていない語彙・語法、或いは採録されていても後漢より後の文献に拠るものを取り上げ、英訳を附し、さらに支謙訳『平等覚経』、訳者不明『無量寿経』、梵本(ネパール本とアフガニスタンで新たに出土した梵語古写本)及びチベット語訳に見られる対応する語彙を併記した。これらの作業はすでに『大阿弥陀経』全体の80%程度まで進んでいる。この詞典と校訂注釈本が完成すれば、本経は勿論、他の古訳経典をかなり正確に読解できるようになるに違いない。 グロッサリー・校訂注釈本作りと並行して、『大阿弥陀経』の訳注を作成し、その成果は、『佛教大学総合研究所紀要』に連載して発表している。今年度の発表で、全体の三分の二の訳注を終えた。 また、平成16年11月に開かれた京都大学人文科学研究所創立75周年記念、中国宗教文献研究国際シンポジウムにて「『仏典漢語詞典』の構想」と題する論文を発表し、その中で、『大阿弥陀経』の語彙の問題も論じた。招聘先のスウェーデン国立社会科学高等研究院(The Swedish Collegium for Advanced Study in the Social Sciences : SCSSS, Uppsala)にて、同じテーマで講演した(平成17年3月)。今後、同じテーマの講演をワシントン大学(平成17年5月)、ベルリン・ブランデンベルクアカデミー(平成17年9月)で行う予定。
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