今年度は、靖国神社に関わる問題を集中的に研究してきた。これまでのナショナリズム研究や、「アジア」を視野に組み込んだ研究を踏まえつつ、靖国を軸にしてどのような問題を考えることが可能か模索してきた。 前期は、靖国神社に関する基本的な研究文献の収集、読解あるいは講義をおこない、また、一時資料を収集した。そうした基礎的な研究をもとに、後期は、戦後論として「靖国」を考えることを追求してきた。 戦勝国の民主主義の質が問われる情況の中で、日本の戦後がどのようにスタートし、いかなる問題を孕むものであったのかを考えてきた。特に丸山真男を題材にしながら、思想史的資料を読み進めた。 これらの研究を踏まえた途中経過のかたちで、日本思想史学会において、「日本の戦後を考える」と題した共同のミニシンポを行った。戦後世界を靖国問題を通して捉え直そうとする企画であり、共同研究として次年度には成果がまとまる予定である。
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