研究課題
本研究課題に関わる平成17年度における実施事項は、(1)北方版画関連文献の収集と検討、(2)ティントレット素描の画像データベース化(進行中)、(3)16世紀の俗語版聖書に関する検討、(4)関連する論文の執筆・刊行、であった。本研究の基本的な手続きと目標は、ティントレットの絵画作品と、同時代俗語出版物および同時代の版画イメージ(書籍挿絵を含む)との、これまで見過ごされてきた関係性を明らかにすることである。平成17年度においては、16世紀ドイツの版画作品、とりわけアルブレヒト・アルトドルファーの版画作品に関する検討を行ない、これらの作品がティントレットによって直接利用されていることを指摘した論文を英文にて執筆・刊行した。また、以前に収集したティントレット派素描作品のデータベース化を少しずつ継続し、同時代版画との関連を検討しているが、この調査項目はいまだ具体的に論文化する段階にはいたっていない。16年度より継続してきた同時代俗語版聖書との関連についての調査は、本年5月までには論文として執筆し、報告書に収載する予定である。また、関連するトピックとして、エル・グレコの初期作品とされる一点の絵画につき、同時代の版画との関連に注目した調査を行ない、平成17年9月にクレタ島レシムノで開催された国際シンポジウム「エル・グレコの工房」にて口頭発表(英語)を行なった。この原稿は平成19年頃にはクレタ大学から刊行される予定である。さらに現在、報告書冊子の完成に向けて、16世紀ヴェネツィア絵画と印刷文化一般に関する総論をまとめている最中である。
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アレティーノ、または絵画問答(ロドヴィーコ・ドルチェ) (所収)(刊行予定)
ページ: 189-222
科研報告書『星座図像の研究--「アラテア」写本を中心に』 (所収)
ページ: 223-249
Aspects of Problems in Western Art History Vol.6,part 1
ページ: 51-56