平成10-13年度文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)(2)の報告書『1930-40年代日本のセザンヌ受容』で行ったデータ・ベース化の作業結果を基に、1930-40年代に、日本では主に「写実」と「造型」のセザンヌ像が形成された事を突き止めた。本年度は、この内、写実のセザンヌ受容について、国内外で資料の捕捉収集を行いながら、考察を進め、その成果を、京都工芸繊維大学工芸学部紀要『人文』52号に、「写実のセザンヌ受容」と題して発表した。 9月、パリ、オルセイ美術館資料室で、セザンヌ関連資料を収集、また、同館他で、セザンヌ作品の調査を行った。10月には、最近美術館として公開されたポーラ美術館のセザンヌ・コレクションを同館収蔵庫で、特別の許可を得て、調査し、資料を収集した。 また、10月、国立文化財研究所美術部広領域研究室長、山梨絵美子氏を京都工芸繊維大学に招聘し、「日本近代美術とアジア美術との関係」と題して、平成16年1月には、大手前大学人文科学教授/大谷記念美術館館長、辻成史氏を招聘して、「素描歴史の風景:むさしの、そして『武蔵野』」と題して講演会をそれぞれお願いし、当該研究についての意見交換、情報交換を行った。また、これは公開性の講演会とし、広く学内外の研究者、学生にも聴講してもらい、公益性を計った。 平成16年2月には、ブリヂストン美術館で講演会を依頼され、「セザンヌの素描と身体」と題して、研究成果の一部を発表した。 裏面に記載したように、上記『人文』52号以外に、幾つかの出版物によって、研究成果を公開した。
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