1930-40年代日本に於けるセザンヌ解釈に関して、平成10-13年度文部科学省科学研究費基盤研究(c)(2)『1930-40年代日本のセザンヌ受容』(報告書)で示した、この時期に於けるセザンヌ論のデータ・ベース化に基づいて、1930-40年代で支配的であった二つのセザンヌ解釈、「写実」と「造型」のセザンヌ解釈が誕生した思想環境を調査した。 それぞれ「写実のセザンヌ受容」(京都工芸繊維大学工芸学部紀要『人文』52号掲載)、「造型のセザンヌ受容」(同53号掲載)として纏め発表した。 これらの研究を遂行するにあたって、平成15年10月21日独立行政法人文化財研究所(東京)美術部広領域室長山梨絵美子氏に「日本近代美術とアジア美術」、平成16年1月10日大手前大学人文科学部教授辻成史氏に「素描歴史の風景:むさしの、そして『武蔵野』まで」、平成16年7月1日、2日にパリ第1大学名誉教授ジャン・クロード・レーベンシュテイン教授に「パレルゴンとマニエール」、「セザンヌに於けるエチュードの概念」と題してそれぞれ講演会を依頼し、当該研究に関するデイスカッションをし、専門知識の提供を受けると共に研究の公益性を計った。また、平成15年9月にはフランス共和国オルセイ美術館他で当該研究に関する資料調査を行った。同年10月にはポーラ美術館で調査を行った。 以上の成果は、研究成果報告書『1930-40年代日本に於けるセザンヌ解釈誕生の環境』として纏めた。
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