今年度は、研究期間である3年間の初年度に当たるため、パーソナルコンピュータなど研究遂行上基本的な設備になる備品を整え、さらに国内で情報収集を行い、海外においては第1段階の調査を行った。 国内では、前年度の2002年12月に、地域連携推進科研「フゴッペ洞窟・岩面刻画と文化交流のフィールドステーション作りの基礎研究」の研究分担者としてフランスとスペインに現地調査に赴いた際に、共同調査者であった研究者と情報交換を行うために、当該科研研究代表者の所属する北海道開拓記念館(札幌市)に出張した。 国外では、フランス南部ロト県に分布するペシュ=メルル洞窟において約2週間にわたって集中的にデータ収集を行った。当該洞窟において確認されているすべて作品に関し、その形象とそれが制作されている岩面の自然の形状との関係を、研究代表者が独自に開発している記録方法により綿密に図表化する作業を行った次第である。当該洞窟においては、確認されている作品数が多く、また、洞窟内は湿度が高いため、長時間継続しての作業が困難であり、相当程度の期間がデータ収集に必要であった。調査結果は現在分析中であり、未だどのようなかたちによっても発表することができていないが、来年度にはインドで開催される国際学会で発表の予定である。その発表のためのデータ収集は来年度も現地において継続して行う予定であり、9月にはスペイン北部のアルタミラ洞窟において、同様の調査を行うべく、現在現地研究者と調整中である。なお、その調査に当たっての方法論などを述べた文章を発表した。
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