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2003 年度 実績報告書

韓国・日本における弥勒の造形の変遷に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520091
研究機関東京成徳大学

研究代表者

金丸 和子  東京成徳大学, 人文学部・日本伝統文化学科, 教授 (60337847)

キーワード弥勒 / 半跏思惟 / 高麗時代 / 朝鮮三国時代 / 巨大仏
研究概要

平成15年度は、研究費交付の決定が遅かったため作業の開始が遅くなったが、文献資料の収集と韓国でも実地見学調査に一定の成果をあげることができた。
朝鮮三国時代の弥勒菩薩の造像例については、現有の写真資料を整理し直すことから始めた。写真資料をデジタルカメラで撮影し直し、データとして整理し始めたところである。
半跏思惟の形式をとらなくなった朝鮮三国時代後の弥勒像は、多くは石造で、如来、菩薩ともに存在する。とくに統一新羅時代ではなく、高麗時代に大型の石像がみられる。三国時代までに制作された弥勒像との関連を考えるため、その内のいくつかを実地踏査した。現在でも多くの信仰を集める潅燭寺の弥勒は、大型で石という素材を活かしたつくりで、今まで芸術的には見るべきところはないとされてきた。しかし、今回の調査で他のほぼ同時期の石像弥勒を実見し、決して芸術的に劣るものではなく、細かいところまで神経の行き届いた造形であることがわかった。潅燭寺、大鳥寺、開泰寺などをはじめとして、かつての百済の故地に集中的に格別大きい石弥勒が制作されたことは、意味があるのではないかと考えている。益山弥勒寺のような大規模な弥勒を祀る寺院の伝統があったのではないかと考える。甘山寺のような統一新羅時代の作例をその中間に探したい。
また、高麗時代独特の自然石(岩)への信仰と弥勒信仰が合体したような造形感覚もみられる。披州の双弥勒はその例と考えられるが、それでもなお衣文や手の表現の細部の表現も行き届き、潅燭寺像などと似た感覚が見られる。一見素朴であったり大雑把にみられ、民間信仰的、土俗的要素が強いと見られがちだが、高麗時代の弥勒の造形には相当な計算があったと見られ、これから多くの作例を集めていきたい。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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