研究課題
基盤研究(C)
交付申請書に記載したように、本研究では、(1)近代美学における「啓蒙」的視点の系譜、(2)近代美学において「未開」のものがはたした役割、(3)現代の芸術や美意識における「啓蒙」的要素と「未開」的要素との葛藤とその意義という3つの重点領域と解決すべき課題が設定されていた。まず(1)については、『美学論究』(2004)および『人文論究』(2006)に掲載した2本の論文において、啓蒙と未開の葛藤という視点から、カントやルーモールらが近代美学史のなかで果たした役割と意義をまとめた。次に(2)については、美術史学者ヴァールブルクによる「未開」イメージへの探求を、『人文論究』掲載の論文(2003)、『国際美学会議報告集』(2003)、さらには『ヴァールブルク著作集』の翻訳作業や解題執筆(2003-2006)などを通じて明らかにした。2005年に発表したウィトコウアについての論文も、この課題に関連するものである。最後に(3)については、北米や西欧における美術館や国際展覧会での調査、および国内での調査によって、多くの興味深い作例についての資料を収集した。また、平成16(2004)年7月18日から23日までリオ・デ・ジャネイロで開催された第16回国際美学会議での発表では、本研究の目的や成果への関心を共有する多くの研究者たちとの意見交換を行った。さらに、『西洋美術研究』に掲載された論文(2004)では、「テクノロジー」という現代文明を代表する現象に含まれる「啓蒙」的要素と破壊的で暴力的な要素を、近代の美術史学研究に内在する、「複製」との深い結びつきを意識化させるかたちでも摘出した。以上の研究成果をもとにした今回の研究報告書には、計8本の論文を英文要旨などとともに掲載する。これらの成果は、いずれウェッブサイト上でも公開して、この主題をめぐる議論を今後も継続していきたい。
すべて 2006 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (14件) 図書 (8件)
人文論究 56-1
ページ: 14-28
Humanities Review 56-1
四大(地・水・火・風)の感性論(2001年-04年度科学研究費補助金成果報告書 代表者 : 岩城見一)
ページ: 77-87
Aesthetics of Four Elements (Earth, Air, Fire, Water), Report of Grant-in Aid for Scientific Research (A) 2001-2004
美学論究 19
ページ: 1-13
西洋美術研究 11
ページ: 8-11
ページ: 108-117
Aesthetics Review 19
Studies in Western Art 11
人文論究 53-1
ページ: 15-28
Selected Papers of the 15th International Congress of Aesthetics
ページ: 126-132
Humanities Review 53-1
Selected Papers of the 15^<th> International Congress of Aesthetics