研究代表者は、平成15年度から18年度まで4年間の基盤研究Cによる研究「日本文学のジャータカ説話(本生譚)と源流・インド説話との比較研究」、及び、これに先立つ数年間の研究成果(平成13年度から14年度にも前段階の研究について科学研究費補助金・若手研究Bを取得)に基づき、博士学位請求論文『ジャータカ説話の原型と展開』を執筆した。これを桃山学院大学大学院文学研究科に提出し、平成18年3月17日、同大学大学院文学研究科より「博士(比較文化学)」(文博乙第一号)を取得している。最終年度・平成18年度には、この博士論文の改稿・整備を行った。並行して、科学研究費補助傘の「研究成果公開促進費」を申請してこれを取得し、汲古書院より、今年度、平成19年6月30日原稿組み入れ予定、平成20年1月16日発行予定として、さらに作業を進めている。書名は『三宝絵本生課の原型と展開』(博士論文の論題を変更)であり、目次によって概要を示せば、 第一章 『三宝絵』とその本生譚 第二章 シビ王本生譚の原型と展開 第三章 シビ王本生譚の主題とその達成 第四章 スタソーマ王本生譚の原型と展開(一) 第五章 スタソーマ王本生譚の原型と展開(二) 第六章 スタソーマ王本生譚の思想的背景 第七章 大施太子本生譚の原型と展開 第八章 大施太子本生譚の誕生 となっている。日本・平安時代、永観2年(984)成立の『三宝絵』に流入した本生課(ジャータカ説話)にどのようなインド的、仏教的背景があるのか、その原型または起源、展開または変容の諸相について考察している。またそれぞれの本生譚ないしその類型話が文学としてどのように読み解けるかを解明しようとしたものである。
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