研究課題/領域番号 |
15520118
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
池内 輝雄 帝京大学, 文学部, 教授 (20075013)
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研究分担者 |
杉浦 晋 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (90235870)
三谷 憲正 佛教大学, 文学部, 教授 (00200048)
堤 玄太 帝京大学, 文学部, 専任講師 (00286999)
日比 嘉高 筑波大学, 文芸言語学系, 助手 (80334019)
小林 和子 茨城女子短期大学, 助教授 (80234813)
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キーワード | 「キング」 / 大衆文化 / 「文芸台湾」 / 新家庭 / モダニズム / 江戸川乱歩 / 菊池寛 / メディア論 |
研究概要 |
本年度は大衆雑誌「キング」を中心に、同時代の文化・文学を考察した。研究成果は以下の如くである。 1 「キング」の創刊より戦前までのバックナンバーをほぼ総て揃えることができたので、基礎的作業として総目次を作成した。来年度にインター・ネット上にて公開する予定である。 2 同じく台湾で発行された大衆雑誌「文芸台湾」を購入、堤が担当してその細目を作成、発表した。 3 共同研究として、公開で研究会3回およびシンポジウム3回計6回開催し、以下の発表・検討を行った。 (1)「キング」の大衆性の特性として、地方青年の教化策や新家庭形成の唱導が、昭和期「国民国家」の編成を可能にし、やがて戦争へと導いたことを明らかにした。 (2)「キング」誌上の大衆文学、大衆演劇、映画(グラビア)の実態はこれまで総合的に考察されることがなかったが、佐藤紅緑、菊池寛らの通俗小説、江戸川乱歩らの探偵小説、曾我廼家十吾らの戯曲、中国・東北地方を舞台にした各種のスパイ小説、過去・現在・近未来戦争を描く戦記小説などに表象された日本意識、対東アジア・欧米意識、モダニズムなどについて、演劇・映画・流行歌などのメディアを横断して考察し、大衆雑誌が文化・社会の形成に深く関与したことを跡付けた。 (3)1932年以降、「肉弾三勇士」の神話化など戦争に関する言説化が進められ、やがて太平洋戦争での「神風特攻隊」を肯定する世論形成に至る経緯を立証した。 (4)川端康成、堀辰雄、太宰治などいわゆる純文学領域とされる作家においても、大衆文化と無縁でないことを、「キング」やほかの雑誌・新聞メディアとの相関の中でとらえ、新たに問題提起を行った。
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