研究課題/領域番号 |
15520127
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大島 薫 関西大学, 文学部, 助教授 (50319604)
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研究分担者 |
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 教授 (40107470)
福島 金治 愛知学院大学, 文学部, 教授 (70319177)
蓑輪 顕量 愛知学院大学, 文学部, 教授 (30261134)
遠藤 邦基 関西大学, 文学部, 教授 (40021315)
曽根原 理 東北大学, 情報シナジーセンター, 助手 (30222079)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 『法華経』講説 / 法華八講 / 表白 / 施主段 / 直談 / 経釈 / 講経儀式 / 論議 |
研究概要 |
「法華八講」と総称された営みは、国家的意義を持つものから、私的に行われたものまで、さまざまな様式をもって行われていた。「八講」において、<論義>とともに重要であったのが<説法>である。<説法>に関する論究は、これまで、<表白><施主段>に鎮められた、美辞麗句や因縁に関して行われ、講師の文学的素養を指摘するものであった。しかし、経典の解釈を講説する<経釈>は、教学の拠り所とする経論・釈義を原拠として、宗派における経典理解が提示され、<論義>とも関わって講じられていたことを確認し得るなど、「八講」における眼目の一つであった。 本研究では、「八講」と総称される「法会」において講説された<経釈>から、「直談」と称された営為に至るまで、『法華経』を唱導した、さまざまな場における講説の実態を、現存する資料を紹介しつつ明らかにした. <説法>を伝える文献を調査するとともに、平安時代から鎌倉・室町時代における経典解釈の方法を整理すると、聴衆(施主)となった階層が拡大するなかで、<説法>そのものも変遷を遂げたことが解明できた。一部の知識階層を聴衆(施主)とした古代から、時代が下るにつれて幅広い階層が聴衆(施主)とされるなか、<説法>は経典そのものを「わかりやすい表現」をもって解説するものに変容していった。人々は、伝統的な<説法>すなわち大陸伝来の経典解釈(経典そのもののについて解説するのでなく、経典を段落分けし、それぞれの段落について「要旨」を述べる)から、経典そのものに解き明かされるところを「知る」ことを求めるようになったと考えられる。 日本人の精神史にも関わって、問題提起を行う結果となっていることを付言しておきたい。
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