研究課題/領域番号 |
15520128
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
大谷 節子 神戸女子大学, 文学部, 助教授 (90211797)
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研究分担者 |
高妻 洋成 奈良文化財研究所, 主任研究官 (80234699)
宮本 圭造 大阪学院大学, 国際学部, 助教授 (70360253)
西田 実継 神戸女子大学, 文学部, 教授 (60164563)
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キーワード | 能面 / 狂言面 / 井関 / 出目 / 河内 / 神楽 / おもて / 知らせ鉋 |
研究概要 |
初年度15年度には、壬生寺、福岡市立博物館、大宰府天満宮、岐阜県久瀬村日坂春日神社、同小津白山神社、秋田県男鹿市東湖八坂神社、同生面神社等、16年度には観世銕之丞家、金春家などの能楽諸家、中尊寺・毛越寺・瑞巌寺などの東北の寺社、岐阜県白山長滝神社、山形県櫛引町黒川能保存会、奈良県多向山八幡宮、同談山神社などの能狂言面(一部舞楽面を含む)の調査を行なった。調査面の総数は約七百面、各々採寸・赤外線調査・写真撮影を行ない、今後のデータベース化に向けて大きな成果を上げることが出来た。 従来、能・狂言面の網羅的なリストは作成されておらず、井関・出目といった主要な面打についても、その作例の総体は把握されていないのが現状である。調査では、これまで知られていなかった井関・出目の重要な作例も多数見出すことができた。国重要文化財、県指定文化財などに指定されている既知の面についても、今回の赤外線調査により、新たにその製作年代を示す年記が見出されたが、これらの中には、従来、面の作風などから推定されていた年代とは大きく異なる年記も少なくない。さらに岐阜県久瀬村日坂春日神社、同小津白山神社談山神社所蔵能面の調査では、従来の調査手法に加え、顕微鏡による観察、モバイル型蛍光X線元素分析装置と携帯型マルチレーザーラマン分光分析装置を用いた材質分析をおこない、能面の製作技法と修復の痕跡を確認するとともに、下地層の材質と彩色顔料などについても有用な知見を得ることができた。本研究のような科学的調査に基づく調査の続行によって、能面史は再考を余儀なくされるであろう。 この他、今回の調査を通じて、現在は神楽面として使用されているものの中にも、近世以前の能・狂言面が少なからず含まれていることが判明した。これらの中には、井関や出目といった京都周辺の一流の面打による作例も含まれており、こうした能面が東北地方にもたらされた経緯や、神楽面と能・狂言面との関係を考える際の重要な資料となる。
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