日本の近世出版文化に関する研究基盤の整備の一つとして、近世前期までに刊行された版本の解題図録の作成をめざす書誌学的な研究を行った。活動の概要は以下のとおりである。 1、書誌データの収集 慶長から明暦年間に刊行された刊記を有する版本(刊本)資料の書誌データと書影(版本の部分的な写真)の収集を行った。書誌データの採取にあたっては、国文学研究資料館が使用する細目カードに準拠したものを使用した。なお、無刊記本の刊行年は研究者によって説が分かれ、水掛け論に終始することが多いため、これを除外した。 2、書誌テータの整備 『国書総目録』等を参照し、統一書名の認定作業、編著者名の記入等を行った。また、出版傾向を考究する際の手がかりとして、現代の図書分類に準拠した分類を付した。ただし、現在の十進分類法をそのまま適応することは難しいので、独自の分類方法を考えた。なお、和刻本漢籍や仏書に関しては、各所蔵機関・研究機関の所蔵目録やデータベースを利用して、書名・編著者名・分類の記入作業を行った。 3、書影の整理 収集した書影を、書誌データと合わせて整理する。 報告書の作成にあたっては、書影の掲載を割愛した。書影を入れると頁数が膨大なものになってしまうからである。また、報告書に収載する書誌データも、収集したものの内、慶長から寛永21年までに限定した。さらに、個々の書誌データも簡略にし、特記の必要のないものに関しては削除したものもある。
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