本研究の目的は、グローバリゼーションの時代といわれる今日において、そのような時代背景を文脈に置きつつ、現代アメリカ演劇がどのような展開を見せているのかを実践的・理論的水準で把捉することにある。初年度の平成15年度については、「1990年代以降のアメリカ演劇の実態の把握」という観点から、該当演劇についての基本図書、すなわちアメリカ演劇関係の研究書ゃ演劇を扱ったさまざまな雑資料(新聞、大衆雑誌を含めた諸雑誌)の収集を開始することができた。また、本研究のもう一つの重要なテーマであるグローバリゼーションをめぐる欧米ならびに日本における思想状況を把握するため、多様な学問領域における基本図書を収集・通読にもちゃくしゅすることができた。さらに、活字メディア以外の演劇実践に関係する当該地域の映像資料も可能なかぎり収集する計画であったが、それもほぼ順調にスタートしている。また、当該年度中に資料収集と研究内容のレビューのため、短期間渡米する計画を立てていたが、これについては研究機関の法人化等の過渡期的状況のため、実施することができなかった。しかし、本研究についてのアドバイザー的役割を果たしていただいているニューヨーク大学のリチャード・シェクナー教授、ワシントン大学のハーバート・プラウ教授、フランクフルト大学のハンス=ティース・レーマン教授などとは電子メールなどを通じて、研究についての意見交換を行っており、来年度以降、さらに突っ込んだ議論を展開するだけでなく、何らかのかたちでの国際会議開催へと動き出したいと考えている。
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